1-2号 (2012年12月)

1. 私と依存研究:名誉会員手記

名誉会員 柳田知司
(東京慈恵会医科大学)

1.米国へ

1960 年 6 月私は家内と 5 か月令の長女を連れて米国に旅立った。ミシガン大学医学部薬理学教室で 2 年間の留学の予定であった。それが 6年近い滞在になるとは夢にも思っていなかった。機内ではミスユニバースのコンテストに行く日本代表が隣席で生後 5 か月の娘をとても可愛がってくれた。

2.ミシガン大学医学部薬理学教室

到着した翌朝、目が覚めると窓の外の庭木にリスが遊んでいるのが目に映り、町中が公園のようで驚いた。早速シーバス主任教授に挨拶に行った。どの研究室で研究するかと聞かれ、サルの薬物依存研究室でと答えたら、我が意を得たりとばかりにサルの実験室に案内してくださった。
後日、秘書から聞いた話だが「日本にも新しい時代が訪れた」と言われたそうである。多分家族連れのことであろう。

3.サルの実験室

実験室には 100 頭以上のサルがいた。私はここでサルがレバーを押して薬物を体内に摂取できる薬物自己投与装置を考案した。ケージは 24個作った。ミシガンの薬理学教室は薬物依存研究の世界のメッカだったので外部から高名な学者がひっきりなしに訪れたが、これらの方々を教授は私のラボに案内するのを自慢にされ、私も大いに面目を施した。最終的には 48 個のケージを設けた。世界の薬物依存研究のメッカに留学できたことは極めて幸運であった。実験装置を試作することは私の特技であったことも幸いした。サルにアルコールや麻薬などを自己投与させる実験は世界の注目を浴び、学会でも薬物依存性、特に精神依存性の解明と新薬の依存性スクリーニングに新たな時代を築いたと評価された。

4.帰国して依存の研究所を設立

帰国後も依存研究が続けられるようにとシーバス教授は米国精神衛生研究所(NIMH)の大型研究費をミシガン大学のサブコントラクトとして私にくだされ、その研究費で財団法人実験動物中央研究所の中に付属研究施設として主にサルでの薬物依存研究を行う研究所を作った。
この研究所は 30 年間続いた。

5.日本における薬物依存の学会

米国には薬物依存問題を専門に扱う由緒ある専門学会がある。これがとても羨ましかったので、日本でも何とかと思って努力した。日本は薬物依存の研究人口も研究費も圧倒的に少ない。その中で困難であったが、1998 年以来ニコチン・薬物依存研究フォーラムなる学会を発足させ、年 1 回の学術集会を開催してきた。この学会は現在は札幌市大医学部の齋藤利和教授のお世話のもとに、精神医学関連の学会と合併した形で引き継がれている。


写真:第 24 回日本依存神経精神科学会年会 名誉会員証授与式にて。
統合実行委員会委員各位と

2. 第 24 回年会を終えて

第 24 回日本依存神経精神科学会
会長 白坂知信
(医療法人北仁会いしばし病院)

今年 9 月 7 日~9 日にかけて、第 24 回日本依存神経精神科学会が札幌で開催されました。関係者の皆様の御協力に心から感謝申し上げます。今回は実質 1 回目の総会ですが、柳田知司先生の御高配で 24 回(日本アルコール精神医学会)を引き続かせていただきました。

今年度の特長は、第 47 回日本アルコール薬物医学会と第 34 回日本アルコール関連問題学会の 3 学会合同で、アルコール・薬物依存関連学会合同総会として開催されたことです。また、9 日より第 16 回国際アルコール医学生物学会総会(ISBRA)も開催されました。3 学会には 650人を超える参加者があり、ISBRA も前日夕方の「Get Together Party」から大盛会で、会場入口は長蛇の列で、会場内も熱気に包まれていました。3 学会は、1 つの学会のようにプログラムが作られ、種職を問わず、どの学会のプログラムにも自由に参加できる形にいたしました。この形は大変好評でした。会長講演は日本アルコール薬物医学会の札幌医大法医学講座の松本博志教授が、「飲酒関連死をどう減らすか」の題で話されました。「法医学」という視点からの話は「新鮮で興味深く」拝聴いたしました。特別講演は、浦河ベテルの家の創設者の川村敏明先生が、「アルコール医療の体験をもとにした地域精神医療の試み」と題し「ベテル活動」に関して話されました。

私は「基礎講座」で 6 人の先生方の中の 1 人として、「地域におけるアルコール問題の考え方と地域支援」と題して話をいたしました。「新たな治療法・診断基準」(久里浜医療センター院長の樋口進先生)では、DSMVでの依存概念の変化と診断基準の変化が話され、欧米を中心とする節酒薬の導入による節酒治療の可能性や数日後に横浜で開催されたISBRA サテライトミーティングへの問題提起がされました。旭川医大内科学講座の高後裕先生は「アルコール性内科疾患とその治療」の中で「アルコール性肝障害の診断基準」の改訂版(2011 版)の発刊についてもお話されました。東京都医学総合研究所の池田和隆先生は「アルコールなど依存性物質の薬理」と題し、依存性薬物の脳内での作用機序・有害性・有用性の可能性に関し説明をされました。理事長の札幌医大精神科の齋藤利和教授は「アルコール依存症の治療」の中で治療・援助方法、抗渇望剤の利用、地域ネットワークの必要性、自助グループとの関係性etc.長年の臨床経験を踏まえユーモアいっぱいに話されていたことが印象的でした。最後に滋賀医科大学生活習慣病予防センターの上島弘嗣先生が、「飲酒と健康の疫学-喫煙問題との相違」と題し、膨大な疫学調査をベースにして、非常にわかりやすく、納得のいくお話をされていました。基礎講座の参加者は決して多数ではありませんでしたが、座長の堀井先生が「これは決して基礎講座ではない。もっと多くの人に聴いてもらいたかった」と話された事が印象的でした。

シンポジウムは 2 学会で 9 つ作られ、私達の学会はその中の 3 つを計画しました。計画していただいた池田和隆先生、大熊誠太郎先生には感謝を申し上げます。その他に 3 学会合同シンポジウムが 2 つ、若手シンポジウムが 1 つ、日本アルコール関連問題学会は別に 6 つのプログラムと 3 つの職能ワークショップを計画しました。

当学会が計画した 3 つのシンポジウムの 1 つ目は、「ニコチン依存を再考する」の主題です。私のようにニコチン問題に知識の乏しい医師やコメディカルでも興味を持てるように話されており、フロアーからも「わかりやすくて、おもしろかったです」etc.の好評価をいただきました。

2 つ目のシンポジウムは「アルコール・薬物依存-基礎から」で、「臨床と基礎の両方を楽しめるプログラム」となっていました。日本における依存症関連の臨床基礎研究の最先端のお話が聴けました。

3 つ目は「新規依存治療薬の探索・候補標的分子の解析から臨床試験まで」と題し 4 名の先生の発表がありました。薬物依存や精神症状の発現予防に関する分子生物学的な最先端研究のお話を興味深く興奮しながら拝聴いたしました。各先生方の一層のご活躍をご祈念申し上げ感謝の言葉にさせていただきます。

旧ニコチン・薬物依存研究フォーラムで行われていた柳田賞や学会奨励賞が新しい学会に引き継がれました。今回は残念なことに柳田賞の該当者はいませんでしたが、学会奨励賞は芝崎真裕先生(星薬科大学)が受賞されました。

9 日には、日本依存神経精神科学会と ISBRA のジョイントシンポジウムが行われました。翌日から第 16 回国際アルコール医学生物学会が行われることもあり、外国人や若手研究者の参加も多く、活発な討論が行われていました。シンポジウムには若手研究者や医師以外の参加も期待し、参加費を低くおさえられており、その効果が認められ国際学会の雰囲気を十分に味わうことができました。一般演題はすべてポスター発表となり、金曜日より自由閲覧が可能なため、多数の参加者があり、「質問時間も十分」にあり、好評でした。

9 日には市民講座も行われました。松本教授と樋口院長が「アルコール問題・うつ病・自殺」に関してわかりやすく話されました。大雨にもかかわらず市民の関心は高く、大ホールは市民で大盛会でした。
3 日間の大会でしたが、国際的雰囲気を味わうこともでき、今までは聴く機会の少なかった基礎研究や臨床応用への可能性も期待できる興奮に満ちたすばらしい大会でした。

2013 年は第 25 回総会を川崎医科大学の大熊誠太郎教授が中心となり岡山市で開催されます。第 48 回日本アルコール薬物医学会との合同学術総会になります。会期は 2013 年 10 月 3 日(木)~5 日(土)です。皆様の御参加をお願い申し上げます。

3. 年会報告:第 24 回年会を振り返る

会期:
2012 年 9 月 7 日(金)~9 日(日)
※ 9 日(日)は第 16 回国際アルコール医学生物学会総会(ISBRA)との共催プログラム
テーマ:
連携と発展
~心技の共有と知の創造を目指して~
会場:
札幌コンベンションセンター
会長:
第 47 回日本アルコール・薬物医学会
松本博志 (札幌医科大学医学部法医学講座 教授)

第 34 回日本アルコール関連問題学会
山家研司 (医療法人北仁会旭山病院 院長)

第 24 回日本依存神経精神科学会
白坂知信 (医療法人北仁会いしばし病院 院長)

①活発な発表が行われた口演発表

②満員のポスター会場

③芝崎真裕先生のCPDD受賞講演

④第 1 回目となる評議員会・総会

⑤評議員会・総会での理事長からのご発言

⑥大盛況の会員懇親会

⑦CPDD奨励賞授与式

⑧優秀演題発表賞等の若手受賞者各位

⑨柳田知司先生への名誉会員証授与式

4. 評議員会・総会議事録

総務委員会 委員長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座)

2012 年 9 月 6 日(木)11:00-11:30 で行われた全評議員確認済みの評
議員会・総会議事録は下記の通りとなります。






【議題にてご発言いただきました先生方】
①白坂知信先生 ②山本経之先生 ③大熊誠太郎先生
④廣中直行先生 ⑤齋藤利和先生

5. 2013 年度年会のご案内

第 25 回日本依存神経精神科学会
会長 大熊誠太郎
(川崎医科大学薬理学教室)

この度、平成25年10月3日(木)~5日(土)の3日間にわたり、第48 回日本アルコール・薬物医学会、第25回日本依存神経精神科学会の合同学術総会である平成25年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会を岡山コンベンションセンターにおいて開催する運びとなりました。この2学会はわが国のアルコール・薬物関連問題の研究と臨床の中心となる学会で、日本依存神経精神科学会は日本アルコール精神医学会とニコチン・薬物依存研究フォーラムが平成24年に合同し、この度が第2回目の総会となります。

お酒は漢の時代より『酒は百薬の長』と言われ親しまれていますが、一方で『酒は百薬の長といへど、万の病は酒よりこそ起れ』という吉田兼好が徒然草の中に記した言葉もあります。過去には全く飲酒をしない人よりも少量の飲酒をする人の方が死亡率の低下が認められるといった、いわゆるJ-shapeやU-shapeと呼ばれる死亡率を表す曲線が報告されています。しかしながら、過度の飲酒はアルコール性肝炎や肝線維症等の様々な疾患の原因となります。つまり、アルコールと上手に付き合うことが精神的、身体的健康につながると考えられます。そこで今年のメインテーマを『飲酒と健康との調和を目指して』とさせて頂きました。

本学術総会は、アルコールのみならず、依存性薬物による薬物依存の研究者はもとより、アルコール飲用、依存性薬物使用による健康障害の治療・予防に従事する医師やこれに関わるコメディカルの方々が一同に集う日本におけるアルコール・薬物依存の中心的合同学術総会です。本会ではアルコール・薬物依存に関する基礎及び臨床研究の成果を発表するとともに、講師の先生をお招きし、特別講演や様々なシンポジウムなどを企画しているところです。

是非、多くの皆様に本合同学術総会で最新の研究成果をご発表いただきご議論いただくとともに、最新の情報を収集して臨床や研究にお役立ていただきたいと願っております。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

会場となります岡山コンベンションセンターは新幹線JR岡山駅から徒歩3分ほどの場所にあります。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

会長 藤宮 龍也
(山口大学医学部法医学教室 教授)
会長 大熊 誠太郎
(川崎医科大学薬理学教室 教授)


1)開催概要

第48回日本アルコール・薬物医学会・第25回日本依存神経精神科学会

テーマ:
飲酒と健康との調和を目指して
会 期:
2013年10月3日(木)~5日(土)
会 場:
岡山コンベンションセンター
〒700-0024 岡山市北区駅元町14-1
TEL:
086-214-1000
FAX:
086-214-3600
学会事務局:
川崎医科大学薬理学教室
担当:
水野晃治・黒川和宏
〒701‐0192 岡山県倉敷市松島577
TEL:086‐462‐1111(内線:27517)

2)運営事務局

株式会社日本旅行 中四国コンベンショングループ

TEL:086‐225‐9281 FAX:086‐225‐9305
E-mail:jmsads2013@wjcs.jp

3)演題募集

2013 年4 月3 日(水)~6 月30 日(日)まで

4)事前参加申込み

2013 年4 月3 日(水)~8 月31 日(土)まで

5)ホームページ

http://www.convention-w.jp/jmsads2013

日本依存神経精神科学会 会議等案内

理事会

日時:
10月3日(木) 16:00~17:30
会場:
岡山コンベンションセンター4F 405会議室

評議員会・総会

日時:
10月5日(土) 11:30~12:00
会場:
同3F 301会議室

奨励賞受賞講演(受賞者なしの場合は開催なし)

日時:
10月5日(土) 12:00~12:30
会場:
同3F 301会議室

柳田賞受賞講演(受賞者なしの場合は開催なし)

日時:
10月5日(土) 12:30~13:00
会場:
同3F 301会議室

平成26年度合同学会 プログラム委員会

日時:
未定
会場:
同4F 405会議室

懇親会

日時:
10月4日(金)
会場:
岡山全日空ホテル 19F スカイバンケット

6. 2014 年度年会長挨拶

第 26 回日本依存神経精神科学会
会長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座)

日本依存神経精神科学会の平成 26 年度の学術総会が、日本アルコール・薬物医学会(会長 松下幸生 国立病院機構久里浜医療センター副院長)、日本アルコール関連問題学会(会長 成瀬暢也 埼玉県立精神医療センター副院長)、および、国際嗜癖医学会(International Society of Addiction Medicine:ISAM、会長 樋口 進 国立病院機構久里浜医療センター院長)との合同で平成 26 年 10 月 2 日から 3 日間にわたって横浜パシフィコで開催されます。平成 24 年の札幌と同様に、国内の 3学会と国際学会とのジョイントになる大きな総会となります。

学会のテーマなどはまだ決まっておりませんが、最近の依存関連のテーマとして、1)脳科学の進歩による依存研究の新たな展開、2)ギャンブルやインターネットなど、物質によらないアディクションが注目されるなかで、“依存”から“アディクション”への疾病概念修正の必要性と妥当性、3)嗜好品科学を通して健康的生活あるいは予防医学の観点からのアプローチ、4)認知行動療法に代表される新たな治療技法の展開、5)“依存”問題もアジア・環太平洋など国際的連携で考えていくことの重要性など、依存をとりまく環境は“ホット”といえます。一方、治療現場では、昔ながらの泥臭い人間的なアプローチや社会的サポートも必要不可欠です。また、学術会議は、次の世代を担う治療者や研究者の育成も重要な課題であり、次世代の活動を奨励するさまざまな成果も発表されます。このように、“依存”にかかわるすべての方々が、十分に意見を述べて、議論できる場があり、また、最先端の知見も体験できるようなプログラムができればと考えています。

横浜は、初めて訪れるビギナーの方でも、何回も経験されているリピーターの方でも楽しめる街です。昼間、学会で刺激された脳を、異国情緒豊かな街の雰囲気で癒していただければと思います。

合同年会の会長である樋口先生を始めとする諸先生方のご指導を賜りながら、微力ながらも実りある年会にしたいと願っております。会員の皆様、一人でも多くのご参加を心よりお待ちしております。

第 49 回日本アルコール・薬物医学会
会長 松下幸生
(国立病院機構久里浜医療センター 副院長)
第 36 回日本アルコール関連問題学会
会長 成瀬暢也
(埼玉県立精神医療センター 副院長)
第 26 回日本依存神経精神科学会
会長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座 教授)
第 15 回国際嗜癖医学会
会長 樋口 進
(国立病院機構久里浜医療センター 院長)


【Information】国際嗜癖医学会

(International Society of Addiction Medicine, ISAM)

国際嗜癖医学会(ISAM)
理事 樋口 進
(国立病院機構久里浜医療センター)

1.国際嗜癖医学会について

国際嗜癖医学会は 1998 年に、主にヨーロッパや北米の国々の嗜癖治療に関わる精神科医によって設立された比較的新しい学会です。構成員から想像できる通り、この学会が取り扱うテーマは基礎より臨床寄りです。学会が関係している分野は嗜癖全般ということになっていますが、今までは違法薬物に重点を置いてきています。この反省から、今後、アルコール・タバコや他の行動嗜癖に関するテーマを学会内でより多く取り入れていくよう合意が得られています。学術総会は毎年行われており、毎回の参加者は 600-1,000 名程度となっています。最近の学会が行われた場所、および今後の予定は以下の通りです。

  1. 2010 年 ミラノ(イタリア)
  2. 2011 年 オスロ(ノルウェー)
  3. 2012 年 ジュネーブ(スイス)
  4. 2013 年 クアラルンプール(マレーシア)
  5. 2014 年 横浜
  6. 2015 年 スコットランド(イギリス)
  7. 2016 年 リオデジャネイロ(ブラジル)
  8. 2017 年 韓国または米国(未確定)

2.2014 年に国内 3 学会と合同開催

2014 年に、本学会、日本アルコール関連問題学会、日本アルコール・薬物医学会と ISAM を共同開催することが決まっています。共同開催の在り方についてはまだ明らかではなく、今後、各学会との話し合いが必要です。日時、場所は以下の通りです。

日時:
国内 3 学会:2014 年 10 月 2 日(木)~10 月 4 日(土)
ISAM:2014 年 10 月 2 日(金)~10 月 6 日(月)
場所:
パシフィコ横浜会議センター

多くの先生方に参加しただき充実した学会にしたいと思います。本学会員の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。

7. 学会印象記:ISBRA

橋本恵理(札幌医科大学医学部神経精神医学講座)

2012 年 9 月 9 日~12 日の 4 日間、札幌コンベンションセンターにおいて齋藤利和会長(札幌医科大学)およびカール・マン会長(ハイデルベルク大学)(写真1)のもと日本学術会議との共催で、第 16 回国際アルコール医学生物学会 (The 16th Congress of International Society for Biomedical Research on Alcoholism: ISBRA) 総会が開催されました。9 月 7 日からの 3 日間は同会場で平成 24 年度 アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会(第 47 回日本アルコール・薬物医学会,第 34 回日本アルコール関連問題学会,第 24 回日本依存神経精神科学会)が開催され、ISBRA 総会初日の 9 月 9 日は同総会との合同開催でしたので、日本依存神経精神科学会会員の皆様で国内学会のみ参加予定であった方の一部も、国際学会の雰囲気を体感し、世界各国の研究者による最新の知見に関する報告を聞く機会が得られたのではないかと思います。

ISBRA 総会の開 催に先立ちプレコングレスイベントとして Get Together Party (前夜祭)が 9 月 8 日の夜にありましたが、海外から到着したばかりの方々も時差をものともせずに大勢集いました。何度かISBRA に参加していつも思うことですが、皆「アルコール」というキーワードでつながってはいるものの、基礎研究者から臨床家まで、分野も中枢神経系,内科系,法医学,栄養学,行政系 etc.と多岐にわたる会員構成にもかかわらず、とてもアットホームな雰囲気の学会で、参加者同士の顔見知り率が高く、皆フレンドリーで、各国からの参加者は毎回学会での再会を楽しみながら、まずは近況報告に花を咲かせ、それから最新の研究情報交換へと会話は盛り上がっていくのでした。このカジュアルかつアカデミックというのが ISBRA の魅力ではないでしょうか。

9 月の札幌には珍しく、9 日からはあいにくの雨模様の中での学会となりましたが、ボリス・タバコフ元 ISBRA 理事長はじめ多くの方が「これぞ学会日和!みんな学会場に留まるしかないからね。」との発言で札幌のスタッフを励ましてくれていました。

学術プログラムは、各国の研究者により企画された 64 の一般シンポジウムと 190 のポスター発表に加え、日本アルコール薬物医学会(JMSAS), Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSAAR), European Society of Biomedical Research on Alcoholism (ESBRA) , Latin American Society for Biomedical Research on Alcoholism (LASBRA),米国の Research Society on Alcoholism (RSA)といった ISBRA 関連団体や、日本アルコール精神医学会とニコチン・薬物依存研究フォーラムが合同して誕生したばかりの日本依存神経精神科学会とのジョイントシンポジウムが合計 9 つ、 4 名の各分野の著名な研究者による基調講演、ワークショップなど、盛り沢山な内容で、世界 29 ヵ国から 500 名を超える参加者を迎えて行われました。発表内容は極めて多岐にわたり、アルコールによる中枢神経系の障害,その分子生物学的メカニズム,肝機能障害などの内科系疾患の病態に関する研究,画像研究,遺伝研究,動物実験などの基礎研究,胎児性アルコール症候群や併存する精神疾患に関する研究,アルコール依存症の薬物療法や動機づけ面接などの臨床的視点での報告,ネット依存など最近関心が高まっている行為嗜癖に関する発表など、充実した内容でした。基調講演演者の一人、慶應大学の岡野栄之教授による iPS 細胞を用いた研究に関する発表は、日本の高い研究技術を示すもので、まさにタイムリーな話題で多数の外国人研究者の関心を集め、聴衆からの質問が続き大変活発な議論が行われました。(写真2)

学会ディナーには 200 名を超える参加者があり、Isaacson Award やDr. Hiromasa Ishii Memorial Award などの授賞式や、参加者も加わっての YOSAKOI ソーランの演舞などのアトラクションで大いに盛り上がりました。世界的に御高名な先生方が非常にノリ良く蟹の被り物を身にまとって踊っていた姿は、ISBRA ならではの光景といえるでしょう。(写真3)また、サプライズ企画として、現 ISBRA 理事長(学会開催時)のカール・マン会長から前 ISBRA 理事長の齋藤利和会長へ、 ISBRA 発展への功績を称え、その道のりを登山に例えて、自らが富士山に登った際の記念の金剛棒が贈られました。(写真4) 羽織はかま姿で金剛棒を手にした姿は、海外からの参加者に大人気の被写体となっていました。

4 日間におよんだ第 16 回 ISBRA 総会は Farewell drink で幕を閉じました。参加者達はワイングラスを傾けながら、2014 年に米国・シアトルで開催される第 17 回総会での再会を誓い、別れを惜しんでいました。

日本依存神経精神科学会会員の皆様も機会がありましたら是非 ISBRAに参加して、数ある国際学会の中でもちょっとユニークな ISBRA のアカデミック・アット・ホームとでも言うべき雰囲気を味わっていただければと思います。


写真1:カール・マン会長(左)と齋藤利和会長(右)

写真2:講演に聞き入る聴衆

写真3:学会ディナーにて。YOSAKOI ソーランの踊り子に誘われて、学会参加者も参加しての演舞

写真4:カール・マン会長から金剛棒を贈られる齋藤利和会長

8. アルコール健康障害対策基本法(仮称)

猪野亜朗
((医)山下会 かすみがうらクリニック)
堀井茂男 ((財)慈圭会 慈圭病院)

日本依存神経精神科学会がアルコール健康障害対策基本法
(仮称)制定の取り組みを継承されるよう、要望します

1.アルコール関連問題基本法制定の取り組みの経過

2010 年 5 月の WHO 総会決議「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」1)2)を受け、同年 9 月、北九州市で開催された日本アルコール精神医学会理事会において、アルコール関連問題対策基本法制定のための 3 学会合同構想委員会に猪野・堀井両理事を参加させることが決定された。

2011 年 3 月、3 学会合同構想委員会がスタートし、2011 年 9 月、2012年 9 月の 2 回、基本法制定に向けた3学会合同シンポジウムを企画してきた。

一方、2012 年 5 月、3 学会は日本アルコール問題連絡協議会の一員として、全日本断酒連盟、ASK などとともに、アルコール関連問題基本法推進ネット(アル法ネット)3)を立ち上げた。設立総会には、アルコール問題議員連盟の議員、厚生労働省・国税庁・法務省などの関係省庁、アル法ネット賛同団体が参加し、久里浜医療センター・樋口進院長が特別講演を行った4)。

アル法ネットは、40 人を超えるアルコール問題議員連盟会員(超党派)、多くの有識者や賛同団体を得ており、取り組みは確実に前進している。

現在、アルコール問題議員連盟(超党派)は、学会およびアル法ネットとのやりとりを重ねて基本法の骨子案(8月30日時点で、他法との重複を避けるためにアルコール健康障害対策基本法(仮称)となっている)をまとめ、酒類業界、関連省庁へのヒアリングを終えて意見待ちの段階にある。

骨子案は表1のとおりである。

表1 アルコール健康障害対策基本法(仮称)骨子案

アルコール健康障害:アルコール依存症その他の多量飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒により発生する心身の健康障害。
基本理念:アルコール健康障害の発生、進行および再発の各段階に応じた予防対策を適切に実施。アルコール健康障害対策を実施するに当たっては、アルコール健康障害が生活習慣病、自殺、虐待、暴力、飲酒運転等の問題に密接に関連することに鑑み、アルコール健康障害に関連して生じるこれらの問題の根本的な解決に資するよう、これらの問題に係る施策との有機的な連携を図る。
責務:国、地方公共団体、酒類製造又は販売を行う事業者、医師その他の医療関係者、健康増進事業実施者、国民の責務を定める。
アルコール関連問題の啓発週間:国民の関心と理解を深める週間を設ける。
年次報告:関連問題の状況と実施の状況の報告書を公表する。
基本計画:国、都道府県において、アルコール健康障害対策推進に関する基本計画策定
基本的施策:①教育・学習など,②不適切な飲酒の誘引の防止,③健康診断・保健指導,④医療供給体制の整備,⑤関連問題を起こした者に対する教育指導等,⑥社会復帰の支援,⑦相談支援,⑧民間団体に対する支援,⑨人材の確保等,⑩調査研究の推進
アルコール健康障害対策推進会議:①関係行政機関の連絡調整,②関係者の意見の反映
検討:法律施行後 3 年をめどに検討、必要な措置を講じる。

尚、医師や医療関係者と関連する基本法骨子案の部分を詳細に追加紹介する。

○医師その他の医療関係者の責務

  1. 国・地方公共団体のアルコール健康障害対策に協力するよう努める。
  2. アルコール健康障害に係る良質かつ適切な医療を行うよう努める。

○健康診断・保健指導

アルコール健康障害の発生の予防に資するよう、アルコール健康障害に係る健康診断及び保健指導を推進するため、必要な施策を講ずる。

○医療提供体制の整備

アルコール健康障害に係る医療について、一般的な診療において行われるものを含めたアルコール健康障害の進行を予防するための節酒指導及びアルコール依存症の専門的治療を受けさせるための指導の充実、一般的な診療を行う医療機関と専門的な医療機関との連携の確保、アルコール依存症に係る専門的な治療及びリハビリテーションの充実その他の必要な施策を講ずる。

○調査研究の推進

アルコール健康障害の発生、進行及び再発の予防ならびに治療の方法に関する研究、アルコール関連問題に関する実態調査その他の調査研究の推進のために必要な施策を講じる。

2.学会及び学会員にとっての法案の意義

  1. ①「飲酒は risk-free ではない」5)と言う認識は日本社会にはない。 しかし、医学的には、アルコールは中枢神経の抑制、依存性、臓器毒性などの有害リスクをもつ薬物であり、有害な使用を予防する必要性があることは明らかである。基本法によって、学会と学会員が蓄積してきたエビデンスは正しい知識としてパブリックキャンペーンに反映されることになり、学会及び学会員は一層社会に寄与することとなる。
  2. ②臨床現場では、患者の否認に悩まされることが多い。日本社会にはアルコール依存症について、「アルコール依存症者は意志が弱い」、「どうにもならないアル中」、「癖が悪い人間」などの誤った認識があり、患者の受診や回復を遅らせている。また、「コミュニケーションには酒」、「眠れなければ、寝酒」、「ストレス解消には酒」という社会意識に加えて、「飲酒を美化するテレビ CM」の氾濫は飲酒を支え、患者の否認を強化している。基本法制定によって、多量飲酒の危険性などアルコールの様々なリスクの認識を日本社会が共有することで、患者も飲酒のリスクを受け入れ、回復に向かいやすくなる。
  3. ③アルコール関連問題の 1 次予防、2 次予防、3 次予防の取り組みに法的なサポートが得られる。
  4. ④自殺対策、飲酒運転対策、虐待対策などとリンクすることで、より効果的な対策が可能となる。
  5. ⑤研究予算が付くことで、調査や研究が進むことが期待される。

3.独立した法体系の必要性

アルコールが社会に存在しなければアルコールの有害な使用は当然存在しない。国家がアルコールの生産―流通―販売―消費を許可するとき、アルコールの到酔性、依存性、臓器毒性によって、一定の国民に有害な使用パターンが生じるのは必然である。アルコールの有害な使用は、個人の力だけで防止し、生じた問題に早期対処することは困難であるため、国家は一定の社会規制を設け、生じた関連問題への対策を総合的に講じることで、アルコールの有害な使用を低減していく責務がある。しかも、国は酒税を得ているので、その一部を対策費に注ぐことは合理的である。

アルコールの有害な使用の結果生じた精神症状は、他の精神疾患と同様に、一般的な精神保健福祉対策の枠組みの中での対応は当然必要であるが、それだけでは十分と言えない理由は上記に述べた通りである。アルコールがもたらす健康障害や関連問題に対しては、独自の法体系(アルコールの社会規制対策及び有害な使用によって生じる関連問題への対策)が必要なのである。

4.基本法制定に向けて

1970 年代、当時のアルコール医学・アルコール医療の研究者や臨床医が「総合対策基本法」の必要性を訴え、取り組んだが、挫折した学会の歴史がある。

今、世界の研究者や臨床医や関係者の努力によって,WHO の「アルコールの有害な使用を低減する世界戦略」が策定され、我々の背中を押してくれている。

現在、1970 年代とは比較にならない程のアルコールに関するエビデンスの蓄積があり、基本法への要請・期待は非常に高まっている。

日本アルコール・薬物医学会、日本アルコール関連問題学会は、現在も継続してアル法ネットとともに基本法制定への取り組みを進めているので、当学会も日本アルコール精神医学会が行ってきたアル法ネットでの取り組みを継承し、アルコールを巡る諸課題を解決していくことに賛同をお願いしたい。

  1. 1) WHO : Global strategy to reduce harmful use of alcohol .
    http://www.who.int/substance_abuse/activities/gsrhua/en/index.html 2012.
    9 月 15 日アクセス.
  2. 2) アルコール関連問題基本法推進ネット:アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略.
    http://alhonet.jp/pdf/who2010.pdf
    2012 年 9 月 14 日アクセス.
  3. 3) アルコール関連問題基本法推進ネット : 設立の趣旨 .
    http://alhonet.jp/
    2012 年 9 月 14 日アクセス.
  4. 4) アルコール関連問題対策基本法推進ネット:設立総会レポート.
    http://alhonet.jp/20120531.html
    2012 年 9 月 14 日アクセス.
  5. 5) 林田基:アルコールに関連する臨床的諸概念とその整理―アルコール関連障害・アルコーリズム―.pp7-8,日本臨床,55,1997.

9. 寄稿:アジアへそして世界へ

齋藤利和
(札幌医科大学医学部神経精神医学講座)

ニコチン・薬物依存研究フォーラム、日本アルコール精神医学会は 1年間の移行期間を経て 2012 年 9 月 6 日をもって合併し日本依存神経精神科学会になりました。本学会の発展のために行わなければならないことは多くありますが、若手の養成、特に世界に通用する若手の育成に学会として取り組んでいきたいと思っています。

日本人の海外留学生の数は 2002 年をピークに急速に減少しています。留学しなくとも同じレベルの学問は国内で学べるようになったことも一つの要因だとは思いますが、英語圏の国で研究生活を送ることが、国際的な研究者となる訓練になっていることも事実だと思います。一方、中国、韓国を中心にした留学生は増えており、今では一昔前とは違って、その多くは帰国して母国で活躍しています。医学系の国際学術誌への投稿も韓国、中国の研究者の研究が増えています。もっとも、このことがアジア地域内での学術交流の促進につながれば、科学界におけるアジアの実力と地位の飛躍につながるはずです。「地域のブロック化なしに国際化なし」と経済界では言いますが我々の世界も同じと思います。しかし、アジア地域内での学術交流は欧米に比べ盛んとは言えません。

むしろ、日本をはじめとしたアジアの各国はアジアの中での交流よりも米国との 2 国間交流をはるかに重要視しているように思えてならなりません。このアジア地域内における交流、連携は我々の国際社会での発言力にも大きく関係します。国際学会でのアジアの研究者の招待講演者の数は、欧米のそれに比べれば依然少ないのが実情です。こうした状況を打破し、国際化に対応していくためにはアジアにおける活発な学術交流・連携をその軸とする必要があります。

ここ数年、いくつかの国際学会ではアジアの地域学会が創設されています。アルコール・薬物の分野でも Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSAAR)が設立されており、すでに第 2 回大会が今年 2 月バンコックで開かれ本学会の会員も多く参加しています。また、去る 9 月 9 日から札幌で開催された International Society for Biomedical Research on Alcoholism (ISBRA 2012)では傘下の地域学会との 8 つの joint symposium が持たれました。また、本学会がスポンサーとなって「アジアのアルコール関連障害:その問題点と対処」と題する symposium が持たれました。さらに ISBRA 2012 で最も特記すべきは日本の若手研究者が数題の symposium をオーガナイズし、いずれも立派であったことです。

こうした若手の活躍を見ていると本学会の将来に明るいものを感じ、将来、世界のリーダーとして育ってほしいと心から願います。とはいってもできるだけ多くの若手研究者に国際的な経験をしてもらえる仕組み作りが重要と思います。

本学会は合併前のニコチン・薬物依存研究フォーラム、アルコール精神医学会の時代からそうした若手への助成を行ってきました。今後はそれをさらに発展させていきたいと考えています。来年 10 月には国際神経精神薬理学会の地域学会がクアラルンプールで薬物依存をトピックに行われます。また、その 4 か月後には中国か台湾で APSAAR の 3 回大会が開催されます。ぜひそれらのアジアの国際学会で本学会の若手会員の活躍を見たいものだと思っています。

【Information】
CINP KL(国際神経精神薬理学会クアラルンプール)開催の件

広報・編集委員会 委員長
池田 和隆
(公益財団法人 東京都医学総合研究所依存薬物プロジェクト)

来年 2013 年の当学会と日本アルコール・薬物医学会の合同年会は 10月 3-5 日に岡山で開催されることとなっております。10 月 3 日は理事会などで、10 月 4,5 日がメインの学術プログラムです。ぜひ多数のご参加をお願いいたします。

実は、この時期に重なった 10 月 1-4 日に、国際神経精神薬理学会(CINP)のアディクション研究に特化した大会がクアラルンプール(KL)で開催されることが決まっておりました(下記HP URLご参照)。
日本の両学会の理事長であり CINP 理事の齋藤利和先生、CINP の次期理事長の山脇成人先生、および池田がこの CINP KL 2013 大会のプログラム委員を務めている日本人です。日本の合同年会は会場の関係でどうしても期日をずらすことができないので、CINP 大会のタイムテーブルの変更(10 月 1 日のマレーシアの国内学会を中心にしたプログラムを 4日に移動していただく)を要望したところ、日本からの多くの参加者を期待して、日本からの要望を叶えてくださいました。10 月 3 日の夜便でご帰国されれば、日本の学会にも間に合います。

CINP プログラム委員会側が日本のために特別に配慮してくださっていますので、ぜひとも CINP クアラルンプール大会へも多くの先生方にご参加いただきたいと願っております。

日本の学会との共同企画シンポジウムの要望もしておりますし、若手研究者への優秀発表賞のシステム作りなども準備して参りたいと思います。国内学会の直前ではありますが、ぜひ前向きにご参加をご検討いただけますようよろしくお願い申し上げます。

CINP KL 国際神経精神薬理学会 in クアラルンプールホームページ
http://cinpspecialcongress.com/committees.php

10. 施設紹介:国立病院機構久里浜医療センター

松下幸生
(国立病院機構 久里浜医療センター)

久里浜医療センターの紹介にあたり、まず病院の沿革について簡単に紹介します。

当院は昭和 16 年に横須賀海軍野比分院として創立し、翌 17 年には野比海軍病院として独立、戦後の昭和 20 年に旧厚生省に移管して国立久里浜病院(昭和 22 年に国立療養所久里浜病院と改称)として発足しました。昭和 36 年には酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(通称:酩酊者規制法)が施行されて昭和 38 年に国立医療機関としては初めてアルコール専門病棟を設置しました。昭和 50 年度に医療従事者を対象としたアルコール研修が始まり、この研修は現在も続いています。また、昭和 64 年 1 月には WHO より日本におけるアルコール関連問題研究・研修協力センターとして指定されました。平成 16年に国立病院・療養所の独立行政法人化に伴い、国立病院機構久里浜アルコール症センターとして発足。平成 24 年 4 月より名称を久里浜医療センターに変更して現在に至ります。

次に、当センターが提供している医療を簡単に紹介します。

1.アルコール医療

病院名は変わっても、アルコール医療は当センターの最重要課題であることに変わりはありません。それは単に診療のみならず、研究、専門家育成、外部へのコンサルテーション、情報発信などを含んだ包括的なものであり、当センターは、まさにわが国におけるこの方面の中心施設としての役割を果たしてきています。また、世界保健機関(WHO)のアルコール関連問題研究・研修協力センターとしての役割や米国立保健研究所(NIH)との共同研究協約など、国際的活動・貢献も積極的に行ってきています。

2.精神医療

当院はアルコール医療専門と思われがちですが、統合失調症、うつ病、パニック障害など精神科医療全般に総合的な診療を行っています。思春期・青年期精神障害に対しては、平成 22 年から専門外来を開設しているところですが、平成 24 年度よりその機能をさらに拡充しました。また、従来のデイケアに加えて、うつ病やアルコール依存症の社会復帰支援プログラムを開設しました。一方、司法精神医療分野では早くから 2個病棟を開棟させ、わが国において国立精神・神経研究センターに次いで 2 番目に多いベッド数を有しています。

3.認知症医療

平成 24 年から、神奈川県の認知症医療中核病院に指定され、当センター内に認知症関連疾患センターを開設し、認知症の特に早期発見、早期治療に取り組んでいます。

4.内視鏡検査

この分野で世界をリードする 2 名の内科医が、特殊な方法を使った消化器がんの早期発見、過敏性腸症候群や便秘の的確な診断と治療を担当しています。

5.その他の特殊診療

平成 23 年 7 月より、わが国で最初のインターネット依存専門診療を開始しており、全国から多くの患者さんが治療に訪れています。

久里浜医療センターでは、アルコール関連疾患や精神神経疾患の病態の解明や、その予防と治療の開発を目的として臨床研究部が設置されています。次にその活動について簡単に紹介させていただきます。

臨床研究部では動物実験や分子生物学の研究設備も充実しており、多数の研究機関と協力しながら、分子生物学的アプローチと精度の高い臨床研究を組み合わせて、多くの学会や論文で成果を公開してきています。特に社会的にも大きな貢献をした研究には、以下のような研究があります。

  1. 1) アルコール依存症の実態調査:厚生労働省の大規模調査の中心的役割を担い、ICD-10 の診断基準で全国に 82 万人のアルコール依存症者がおり、治療を受けているのはその約 50 分の 1 に過ぎないことを 2004 年に報告しました。
  2. 2) アルコール依存症とアルコール代謝酵素の遺伝子多型の研究:アルコール脱水素酵素 2(ADH2)とアルデヒド脱水素酵素 2(ALDH2)は遺伝子多型により酵素活性が異なり、飲酒で赤くなりにくい体質と関係する非活性型 ADH2 と活性型 ALDH2 がアルコール依存症の危険因子であることを証明しました。またこの遺伝子多型とアルコール依存症の病態との関連の研究を行なっています。
  3. 3) アルコールクランプ実験:希釈したアルコールを静脈注射して血中アルコール濃度を一定に保つことでアルコールの効果や耐性の形成について調査を行い、さらにアルコールに対する感受性が将来のアルコール問題発生にどのように影響するかを検討しています。
  4. 4) エタノールパッチテストや簡易フラッシング質問紙法の開発:アルコールに弱い体質の ALDH2 欠損者を簡易に判別する方法で、前者は未成年の判別にも使えるため学校教育でも使われています。
  5. 5) 認知行動療法を中心とした治療プログラムの開発普及:認知行動療法を中心としたセンター独自のプログラム(GTMACK)を開発して治療を行っています。
  6. 6) 摂食障害と女性アルコール依存症の研究:女性アルコール依存症患者の特徴として摂食障害の既往や合併が多く、女性の病態の研究と治療プログラムを確立してきました。
  7. 7) 若年、高齢者の飲酒問題の実態解明とその予防と治療の研究:未成年者や高齢者の飲酒の大規模疫学調査を行い、未成年者の問題飲酒が増加していることをいち早く警告してきました。また老人の飲酒問題の実態調査や、高齢者アルコール依存症の治療プログラムを確立してきました。
  8. 8) アルコールによる脳神経疾患、肝障害、膵炎の病態解明:臨床に基づく病態の研究を行い、特に肝線維化マーカーによるアルコール性肝障害の評価には、その黎明期の研究から数多くの論文を発表してきました。
  9. 9) 飲酒関連発ガンの研究:口腔咽喉と上部下部消化管の癌がアルコール依存症患者では著しい高頻度であり、食道ヨード染色などを用いた内視鏡癌検診の重要性を報告してきました。特に食道癌は、ヘテロ欠損型 ALDH2 を有する飲酒家でアセトアルデヒド暴露によって発生しやすいことを最初に報告し、その発癌背景の研究から、飲酒発癌の機序、予測、予防、早期診断の戦略について報告してきています。

11. 専門医制度について:専門医認定委員会

専門医認定委員会 委員長 米田 博
(大阪医科大学神経精神医学教室)

1.専門医制度委員会について

日本アルコール精神医学会とニコチン・薬物依存研究フォーラムが昨年合同し、日本依存神経精神科学会となって初めての総会が本年 9 月に開催され、盛会裡に終了しました。両方に所属する会員が多く、活動内容も似通っていたこともあってスムーズに新たな学会として立ち上がり、学術総会も盛り上がっていました。関係各位のご努力に敬意を表したいと思います。しかしながら、今後さらに考えてゆかなければならない問題も残っています。その一つが日本アルコール精神医学会の専門医制度です。日本依存神経精神科学会の理事会でもこのことが取り上げられ、専門医制度の委員会(専門医認定委員会)を立ち上げて協議してゆくことになり、私が理事として担当することになりました。

2.日本アルコール精神医学会専門医制度の概要

日本アルコール精神医学会の専門医制度は、アルコールおよび薬物依
存に関する優れた学識と高度の技能および倫理観を備えた臨床医を養
成し、わが国における精神医学の発展、高度な精神科医療の提供ならびに保健・福祉に寄与することを目的として導入され、総会でも承認されました。その資格認定基準は、(1) 日本国の医師免許証を有すること、(2)社団法人日本精神神経学会の認定した精神科専門医であること、(3) 申請時において継続して 3 年以上本学会の会員であること、(4) 専門医委員会が認定した研修施設において 3 年以上の研修を行い、指導医による研修修了認定をうけていること、(5) アルコールおよび薬物依存に関連した臨床・保健・福祉・学術活動に従事していること、(6) 専門医委員会の施行する専門医認定試験および審査に合格していることです。必要な研修は、学会が認定した研修施設で指導医のもとに行うことになります。指導医の資格基準は、(1) 医籍登録後 10 年以上のもの、(2)本学会専門医であること、(3) 専門医を養成する能力を有していることであり、専門医、指導医、研修施設の認定は 5 年ごとに更新の審査を受けなければなりません。

3.日本アルコール精神医学会専門医制度の特徴

この専門医制度の特徴は、明確に日本精神神経学会専門医制度の二階建て部分としたこと、アルコール・薬物医学・医療の領域の専門医はsubspecialityと考え、精神医学・医療に関わる部分についてはアルコール精神医学会が認定する形にしたこと、日本精神神経学会の専門医は臨床を主体した評価によっているが、subspecialityの専門医は学術・研究活動も含めて認定するべきであることを明確にしたことです。しかしながら、精神神経学会の専門医制度は立ち上がってはいるものの、未だ専門医広告はできない状態です。日本専門医制評価・認定機構のいう18基本領域学会の内、広告が認められていないのは、日本精神神経学会、日本臨床検査医学会で、精神科領域で認められているのは subspeciality の総合病院精神医学会(一般病院連携精神医学専門医)のみです。精神神経学会は、公益法人化に向けた作業が最後の詰めの段階に入っており、それに伴って精神科専門医も近々厚生労働省の承認を得られて広告可能になると聞いてはいますが、二階建て部分としたアルコール精神医学会の専門医制度はこのような状況で、規則はあるものの具体的な認定に向けた作業を進めてはいませんでした。

4.「専門医制度」の現状

ところで、専門医制度は激変の中にあります。厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の中間とりまとめで、専門医の質の一層の向上(良質な医療の提供)と地域医療の安定的確保を目指して、新たな専門医の仕組みを、医療を受ける側の視点も重視して構築すること。すなわち、中立的な第三者機関を設立し、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行うこと、総合的な診療能力を有する医師を基本領域の専門医の一つとして加えること、専門医の養成数を養成プログラムにおける研修体制を勘案して設定すること等が提言されています。早ければ来年にもこの提言が現実化され、新たな第三者機関が設立されるようです。本来専門医制度は、学会の自主的、自律的な活動ということができます。しかし、平成14年に医療法に基づく厚生労働省告示が公示され、「専門医の広告」ができるようになりましたが、このことは見方を変えると専門医制度に広告という法的規制がかかり、厚生労働省の承認を必要とすることになったということです。法人格を持たない学会は承認されず、専門医の広告はできません。そして厚生労働省の主導で専門医制度の大きい枠組みが変更されようとしています。

5.今後について

このような状況の中で、新たに船出した日本依存神経精神科学会が専門医制度をどのようにしてゆくのか、考えていきたいと思います。会員の皆様の忌憚ないご意見を是非頂戴したいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

12. ホームページのご案内

ホームページ制作担当
廣中直行
(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
高田孝二(帝京大学)

1.ホームページ立ち上げについて

日本依存神経精神科学会では、学会が発信する情報を迅速にお伝えし、会員相互の交流をはかり、さらに学会外の方々にも学会の活動に関心と理解を深めていただくため、ホームページを立ち上げることにいたしました。ホームページは、編集・広報委員会の活動の一環として作成・運営が行われます。

2.日本アルコール精神医学会ホームページをベースに作成

ホームページは学会の顔であり、多くの学会が工夫を凝らしたホームページを作っています。当学会の前身である日本アルコール精神医学会と、ニコチン・薬物依存研究フォーラムも、それぞれホームページを持ち、広報活動を行ってきました。当学会の発足にあたり、これらのホームページを検討した結果、当学会のホームページは日本アルコール精神医学会のホームページを母体とし、改訂・追加を加えて作成することになりました。

3.ホームページアドレスと構成

ホームページの HP アドレスは日本アルコール精神医学会のものを引き継ぎます。トップページは「http://www.jspra.jp/index.html」です。
ページのデザインは作成中ですが、図 1 のようなものになるでしょう。
このホームページの構成と内容は、図 2 のように考えています。

4.ホームページの具体的な内容

理事長の齋藤利和先生からはすでに「アジアへ、そして世界へ」(本ニューズレターp10に掲載の寄稿と同)という挨拶文をいただいています。「概要」のページには二つの学会が合併して新しい学会になった経緯を述べます。現在、日本アルコール精神医学会のホームページにある「設立の歴史」はそのまま読めるように残し、旧ニコチン・薬物依存研究フォーラムのホームページにもリンクを貼っておきます。このページには理事・監事の名簿も掲げる予定です。

「入会案内」のページでは入会申込書がダウンロードでき、メールでの入会申込を推奨するようにご案内します(本ニューズレターp16~18にも、変更届とともに掲載いたしました)。また、このページには会則も掲げておきます。

「ニューズレター」のページは、ニューズレターのご紹介とともに、バックナンバー(PDF版)の一覧を掲げておき、いつでもバックナンバーがダウンロードできるようにします。

「学術賞」のページは、概要と趣旨説明に続いて、当学会の最高賞である「柳田賞」、そして若手研究者のための「各種奨励賞」のページがあり、募集要項にアクセスできるようにしておきます。学術集会のご案内などの各種のお知らせは随時掲載していきます。

5.今後について

当初は、既存のホームページを改訂するのであれば、たいした手間はかからないと考えていましたが、学会の公式な顔になると思うと気を使うことも多々あり、編集作業はなかなか進みませんでした。内容が整ったところでアップロードいたしますが、随時手直しをし、より良いホームページを目指したいと思います。会員の皆様には編集・広報委員会宛てにご要望やご意見などをお寄せ下さるよう、お願いいたします。

13. 2013 年度CPDD奨励賞・第 3 回柳田賞の件

賞選考委員会 若手賞担当
委員長 樋口 進
(国立病院機構久里浜医療センター)
柳田賞担当
委員長 山本経之
(長崎国際大学)

当学会では、下記の賞の募集をいたしております。すでに 2013 年度CPDDについてはご案内いたしましたとおり、募集を開始いたしております(〆切:2012 年 12 月 20 日)。
それぞれの賞についてご説明いたします。

1.2013 年度CPDD奨励賞

【CPDD とは】

CPDD は、1929 年に米国科学アカデミーの中に設立された薬物依存研究に関する由緒ある委員会です。現在は、国の機関から独立して薬物依存分野における国際的学会となっており、研究と政策樹立に関する最新の情報を提供しています。年 1 回の年会には、2 千人近くの世界の専門家が集まり、5 日間に亘って米国行政府の報告をはじめ千題以上の研究発表が行われます。
CPDD ホームページ http://www.cpdd.vcu.edu/

【応募資格】

  1. 1)35 歳以下または博士号取得 5 年以内のいずれか。
  2. 2)旧アルコール精神医学会または旧ニコチン・薬物依存研究フォーラムと本学会の会員歴が合算して満 1 年以上で薬物依存研究に従事する者。基礎、臨床を問わない。
  3. 3)本年度の CPDD 年会でポスター等の研究発表を行う予定の者。
  4. 4)本学会で研究発表実績がある者。

【奨励賞の内容】

  1. 1)年会にて奨励賞表彰状を授与する
  2. 2)副賞は¥50,000 とする
  3. 3)帰国後の報告:原則として、帰国後 1 か月以上経過の最初の年会において、CPDD での発表内容を報告する。

2.第3回柳田賞

柳田知司賞は、薬物依存研究の世界的な権威者であり本学会名誉会員の柳田知司先生のご功績を顕彰すると共に、この領域での次世代を担う若手研究者の育成を目的として創設されました。本賞が薬物依存に関わる研究の推進と社会的貢献の一助となることを大いに期待するものであります。

柳田知司賞は2011 年に創設され、第1回目は薬物依存関連領域における優れた論文を発表した会員に与えられる論文賞として位置づけられていました。2012 年に合併統合され新しく誕生した日本依存神経精神科学会からは、ニコチン、アルコールおよび薬物依存関連研究の発展に大きく貢献し次世代を担う若手会員に与えられる本学会最高賞として位置づけられています。

柳田知司賞の応募の詳細については、本学会のホームページ(http://www.jspra.jp/index.html)をご覧頂き、若手研究者の皆さんは、是非奮ってご応募ください。

柳田知司先生のご略歴:

柳田知司先生は 1955 年に東京慈恵会医科大学を卒業され、フルブライト留学生として 1960 年より米国ミシガン大学にご留学されて以来、薬物依存性の概念の明確化や薬物依存の研究手法の確立等、幾多の優れた研究業績を残されました。
先生は、米国ミシガン大学医学部での 5 年間の、サルを用いての薬物依存に関わる研究を機に、当時緒についたばかりの行動薬理学の開拓に努められ、わが国における中枢薬理・行動薬理学の確立に先駆的役割を果たされました。さらに、厚生労働省関係では中央薬事審議会臨時委員(1970、1979)や国際厚生事業団委員(2000-2008)、財務省関係では財務制度審議会委員(2001-2009)などをご歴任されました。
一方、1985 年より 2000 年まで世界保健機関薬物依存専門委員会委員を務められ、学問のみならず国内外の薬物乱用防止に関わる行政にも多大なご貢献をなさいました。
これらのご貢献に対し、1994 年には(財)食品農医薬品安全性評価センターより望月喜多司記念功労賞、また、2010 年には厚生労働省より、薬事功労者厚生労働大臣賞が授与されています。
さらに、柳田先生は国内外の学会の理事や年会長を務められ、また旧ニコチン・薬物依存研究フォーラムを含む多数の学会の設立にも指導的役割を果たされてきました。
同時に、卓越した見識と先見性に満ちた指導により数多くの薬物依存研究者を育てられ、この領域の学術の振興と学会の発展に多大な御尽力を頂きました。

【Information】
CINP KL2013 若手優秀賞の件

賞選考委員会
若手賞担当 委員長
樋口 進

学会では若手の育成を最重課題の一つにしており、すでに柳田賞・CPDD 奨励賞という若手研究者のための賞を設けております。2013 年のCINP KL(CINP Kuala Lumpur Regional Meeting, 本ニューズレターp10参照)においても、若手優秀賞を新たに設けることとし、現在賞の内容について賞選考委員会にて検討中です。

詳細が決まりましたら、会員各位へ HP(現在未完成)やニューズレター等でご案内する予定ですので、よろしくお願いいたします。

14. 学会からのお知らせ・連絡事項

1.総務委員会から

【役員選挙予定】

2012 年 9 月 7 日の日本依存神経精神科学会で開催された評議員会・総会にてご説明いたしました「役員選挙の件」について、下記のような予定で実施いたします(すでに実施されている部分もあります)。評議員の方は、理事・監事の候補者でもあり、また、選挙権を持つ有権者ですので、なにとぞよろしくお願いいたします。

11 月上旬までに、理事長指名で選挙管理委員を選出(1 名以上 5 名以内)します。選挙に用いる書式や規定一式は、総務委員会管轄とし、総務委員長が作成し、理事長の確認および許可を得ます。

11 月 15 日 選挙管理委員会から、評議員の先生方全員に役職継続の意思を文書にて確認させていただきます。

11 月下旬 上記を回収し、評議員名簿を作成いたします。そして、新理事・新監事の立候補・推薦のための届出用紙を作成し、立候補・推薦の説明書、評議員名簿とともに郵送します。

12 月 20 日 規定の用紙を用いて、新理事・新監事の立候補・推薦を行います。〆切は 12 月 20 日とします。

1 月上旬 立候補および推薦の結果、新理事・新監事の候補者となった先生方を対象とした選挙を行うため、投票用紙と返信用封筒を評議員の先生方に郵送します。

1 月中旬 規定の投票用紙と封筒を用いて投票を行います。投票〆切は1 月下旬とします。

2 月上旬から中旬 選挙管理委員会を開催し、投票用紙の集計を行います。理事は、投票数の多い順に 10 名当選とします。監事は、投票数の多い順に 2 名当選とします。まず、理事を決定し、のちに監事を選出します。理事としてすでに選ばれている方は、監事にはなれません。また、理事、監事とも同数の場合には、年齢が上の方に決定します。

2 月下旬 当選者への通知(および次回の理事会案内)とホームページへの掲示を行います。

4 月下旬~5 月上旬 理事会を開催し、新理事長を選出します。

【ご入会・変更等手続きについて】

周囲に当学会にご興味をお持ちの方がいらっしゃった場合には、是非、本学会へのご入会をお勧めください。

1)入会について

入会はホームページに入会申込書を掲載し、ダウンロードにてお申込みいただく予定ですが、ホームページ完成までは、下記事務局までご一報いただければ、申込書を E-mail、FAX 等の方法でお送りいたします。
お気軽にお問い合わせください(本ニューズレターp16・17 にも掲載)。

日本依存神経精神科学会事務局
(旧・ニコチン・薬物依存研究フォーラム事務局)
〒100-0003
東京都千代田区一ツ橋 1-1-1
パレスサイドビル9階 (株)毎日学術フォーラム内
TEL.03-6267-4550 FAX.03-6267-4555
E-mail: jfndds@mynavi.jp
事務局営業時間:平日 10:00~17:00
※土日祝、年末年始、学術集会中はお休みいたします。
2)変更について

ご所属、ご職名などに変更がありましたら、事務局までご連絡ください。今後はホームページに変更届を掲載する予定ですが、ホームページ完成までは事務局まで FAX、E-mail、郵送等文書に残る手段で、ご変更のご連絡をお願いいたします(本ニューズレターp18 に掲載)。

3)退会について

上記の事務局まで FAX、E-mail、郵送等文書に残る手段で、①当学会名、②退会される会員のフルネーム、③○○年度をもって退会するとの一文、の 3 点をご連絡ください。

2.財務委員会から

【決算について】

2012 年決算につきましては、旧アルコール精神医学会および旧ニコチン・薬物依存研究フォーラムのものは、ホームページが完成し次第、アップいたします。2012 年度本学会決算につきましては、2013 年度の年会にてご報告予定です。

【請求書の発行について】

次回請求書の発行は、2013 年 3 月を予定しております。お手元に届き次第、お早めにお支払いいただけますようお願いいたします。

3.広報・編集委員会から

【『JSND NEWS Letter』広告について】

『JSND NEWS Letter』では、広告を募集しております。ご希望の方は、事務局までご一報いただけますようお願いいたします。
また会員の方からの、広告掲載企業様等のご紹介も大歓迎です。

広告料金(税別)
表 4 4 色 30,000 円
表 3 4 色 20,000 円
後付 1 ページ 4 色 18,000 円
半ページ 4 色 10,000 円

※1 ページ 天地 260 mm×左右 170 mm
※1/2 ページ 天地 125 mm×左右 170 mm

4.柳田賞醵金について

本学会は本学会最高賞である「柳田賞」を末永く継続させるため、本賞の賞金および副賞に使用する醵金を募集しております。一口 10,000円からお受けさせて頂いています。「柳田賞」設立の趣旨をご理解・賛同していただける方は、ぜひ事務局までご一報ください。